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耀エンド
筆者:御神の剣士


 空に溶けて消え……目が覚めてみれば、妙な空間だった。
 クロノト○ガーで未来に飛んだり、過去に行く時に出てくる、あの、光がうねりを伴った空間、とでも言おうか。
 珍妙な場所だ。

「まあ、現世じゃない事は確かだな」
 
 ここが天国でなければ良いなと願いつつ、僕、式見蛍は歩き出す。
 五分、十分、三十分、一時間。どんなに歩いても、景色に変化は訪れない。ここには何もないのだろうか?
 そう思ったところで、人影を発見した。

「……ふう。あれ、誰か居るぞ」
 
 近づいていき、その人影が妙に覚えがある人物と似ているような……そのまんまというか……
 ひとまず、声を掛けてみた。

「やあ、こんなところで会うなんて、奇遇だな」
「ううっ、センパイー!」

 うずくまっている少女と目が合うと同時に、飛びついてくる。
 彼女は、日向耀。三年前に亡くなった帰宅部の後輩であり、犬のぬいぐるみのニャー君とコンビを組んでいる新米芸人だ。

「センパイ、今、なんか変な事、思いませんでした?」
「気のせいだ。それよりも耀はなんでこんなところに居るんだ?」
「なんで……って、センパイ、一緒に死んでくれる約束だったじゃないですかっ! なのに、いつまでもセンパイが来なくて寂しかったんですよー!」
「いや、そもそも、そんな約束はしてないし」
「……うっ、そうでしたっけ?」
「自分の都合の良いように、記憶を曲解しない。耀はここがどこだか分かるか?」
「センパイ、ここは『この世とあの世を繋ぐ場所』……ではないかと、ニャー君が言っております」
「自分の意見に自身がない時は、ニャー君の発言にするんだな」
「てへっ♪」
「……まあ、別に構わないが」

 確かに、あの世に行く前にそんな空間があると、漫画か何かで読んだ事があったっけ。
 学校で例えるなら、校舎を移動する渡り廊下みたいなもんだろう。つまり、ただの通路だ。

「センパイ、私が死んでから、現世にどれくらい居たんですか?」
「三年だけど……それがどうかしたか?」
「えええええっ! センパイ、三年も可愛い後輩を待たせたんですかっ! 酷いじゃないですかっ!」
「酷いとか言われてもな……耀がこんなところで待っているなんて、夢にも思わないだろ?」
「誤魔化そうとしたって、そうはいきません。『極悪非道』だと、ニャー君も言ってますよ。センパイは三年もの長期間、私を待たせた罰として、償わなくてはいけないのですっ!」

 ぶーぶー文句を言う耀を宥める僕。
 現世から消えてからも、なんで苦労しないといけないんだろう。死にてぇ――なんて、口癖だった台詞を思う。

「償うとしたら、僕はどうすれば良いんだ?」
「ここは、私を連れて現世に戻り、奇跡とか適当な理由で生き返り、無理矢理ハッピーエンドなんて展開が良いんじゃないかと」
「う〜ん、奇跡とか言われてもなぁ、簡単に起こらないから、奇跡って言うんだし」

 自分で口にして何だが、某ギャルゲーの有名台詞だよなぁ、これって。

「う〜、それを起こすのがセンパイの役目じゃないですかっ! 『今こそ日向耀とセンパイのラブパワーの出番だ』と、ニャー君も言ってますよっ!」
「いや、僕たちの間に、ラブパワーなんてないし」
「うわ〜ん、断言されたぁ。乙女心がズタズタだぁ。スプラッタ映画も真っ青だぁ」
「僕としては、耀に乙女心なんてものがあった方が心外だけどな」
「ひどっ! センパイ、見えないけど、顔に仮面を被ってますよー! 13日の金曜日になると、人を殺して歩いたりしてません?」
「人なんて殺した事、ないし」
「素で返されたっ! うわ〜ん、センパイのノリが良くないよー」
「耀のテンションに付いていけないだけだ。あっ、そうそう、話は思いっきり変わるけどさ、一つ耀に言いたい事があったんだ」
「一体何をですか?」
「犬のニャー君と、耀は、二人でワンセットだろ?」
「別に、私は私だけでカウントしてくれても構いませんけど」
「ワンセットという事で認めてくれ」
「……分かりました」

 少し、思考をふざけモードに切り替えて――

「いきなり、耀のあだ名決め大会〜、どんどんぱふぱふ〜」
「センパイ、脈絡がないですよー」
「脈絡がないのはいつもの事だろ?」
「うっ、それはそうかもしれませんけれど……せめて、可愛らしいあだ名にしてくださいね」
「可愛らしいかどうかは分からないが、耀の事、パペット○ペットって呼んで良いか? ほら、同じぬいぐるみ使いじゃないか」
「私が持っているの、牛でも蛙でもないじゃないですかー、『俺様は犬だぜ』って、ニャー君も断言してますし」
「確かに一理あるな……良いあだ名だと思ったんだがな」
「それに、全然可愛らしくないし。もっと、ぷりてぃーなのが良いですっ!」

 拳を握りしめて、耀は語る。
 やはり、アレしかないか。

「『まほら○』って漫画分かるか? 主人公が絵本書きを目指すほのぼの漫画で、アニメにもなった奴だが」
「いや、分かんないですけど」
「それに、犬のぬいぐるみを扱うおっさんが出てくるんだけど……」
「え? おっさん?」
「耀のあだ名、灰○と命名!」
「全然可愛くなさそうだし、さっきから伏せ字ばっかりだし、ネタに走りすぎだしっ!」
「安心しろ、そもそも耀の存在自体、ネタのようなものだし」
「ネタにされた! 私、ネタにされたよー」
「……ふう、心に思っていた事を言えて、満足した」
「うわ〜ん、なんか、心を犯された気分だよー」
「耀、さて、心残りもなくなった事だし、成仏しようか」
「私は心残りが増えたよっ! ニャー君だって『センパイに苛められた』って泣いてますよー」

 ふざけモード、終わり。

「でもさ、いつまでも、ここに居るわけにはいかないだろ? この先に天国か、それとも地獄があるのか、もしかしたら輪廻転生するのかは分からないけどさ。三年も渋ってたんだし、決心だって付いただろ?」
「決心なんて、付かないですよ。私だって……もっと生きていたかったんですから……」

 生きている時は、『死』を受け入れていた耀。
 あの時は潔いと、諦めていると思っていたけれど、これが耀の本音なのだろう。

「僕だって死にたくなんかなかったさ」

 それでも、死んでしまったのだから、仕方ない。運命を受け入れるしか道はないのだ。
 
「耀、一人が寂しいのなら、僕が手を握っていてやるから。一緒に逝こう」

 少し前までは全く分からなかったけれど、今なら、この空間の出口が分かる気がする。
 涙ぐんでいた耀は、ニャー君で涙を拭い……ニャー君、大活躍だ。べとべとだけど……耀が僕の顔を見上げてくる。

「センパイ……分かりました。『そこまで言われちゃあ、こっちも腹を括るしかねえ』って、ニャー君も言ってます」
「そうか。ほら」

 差しだした僕の手を、耀は握って立ち上がる。

 この先に地獄が待ち受けているのか、天国が待ち受けているのか、人知の及ばない全く違うものが待ちかまえているのか、それは分からない。
 でも、一人なら寂しいあの世でも、明るい耀がいれば乗り越える事が出来るかもしれない。
 つくづく浮気ものだよなぁ、僕。だけど……今回ぐらいは良いよな? 僕という、式見蛍という人格が残っている、最後の時かもしれないし。

「センパイと手を繋いじゃった〜♪」
「ああ、繋いじゃったぞ。僕の好感度、大幅アップだな」
「夢の耀ルートですね、ニャー君も大満足ですよー」

 馬鹿話をしながら、この世とあの世を繋ぐ場所(ニャー君談)の出口へと辿り着いて……

「センパイ、もしも輪廻転生とかしちゃったら、来世ではぜひぜひ、日向耀に清き一票を!」
「う〜ん、そうだな。覚えていたら、な」

 僕と耀の二人は、とても温かい、目映い光に包まれて、意識が途絶えるのだった。








「センパイっ! センパイっ! 大好きです」

 僕は、『式見蛍であったもの』はげんなりと溜息を吐いた。
 現守学園、二年A組――教室に現れたのは、絶世の美少女。

「ううっ」

 大注目だ。無茶苦茶注目されている。
 クラスメイトの視線に、縮こまる僕。
 一緒に転生したはずなのに、なんか誤差があって……耀の奴は先に転生しちゃった訳で。

「これからも、よろしくお願いしますね、センパイ」
「ああ、よろしくな、先輩」

 何の因果か、二人とも記憶を持って転生するなんて言う、奇跡みたいな出来事が起こって……一個上なのに、センパイと呼んでくる先輩という、僕たちの関係は妙な関係になってしまったのだ。しかも、あの時の、この世とあの世を繋ぐ場所の事まで覚えていたもんだから、問答無用に僕の恋人の座に耀の奴は納まってしまった。
 前世では日向耀だった少女は、右手にはめている犬のぬいぐるみを僕の方に突きだしてくる。

「犬のニャー君も断言してますよっ! 『私達の相性は、前世から最高だっ!』って」
「前世では出会ってすぐに、耀は死んじゃったけどな」
「うわーん、それは言っちゃいけないお約束ですよ、センパイィィィ!」 

 僕と耀の二人で作る、物語は今、始まったばかり――

「センパイ、そう言えば隣のクラスに、やたらと高圧的で、理不尽で、やることなすこと凄い事ばかりやる人と、一度語り出したら止まらない、幽霊の話し好きな人と、レモン飴大好きで、誤魔化し笑いが『あははー』って笑う人と、『人間なんて滅んでしまえばいいのだ、ふんっ』なんて超絶思考をする人と、余り喋らないんですけど、恥ずかしい事があると赤面して耳をピクピクさせる人が居るの、知ってます?」
「知ってる、どこかで見た事があるようなメンバーだよな」
「しかも、全員『帰宅部』なんですよー!」

 偶然……ではなく、それは運命。
 輪廻転生に誤差でもあるのか、それとも、僕が消えた後に後追い自殺でもしたのか、詳細は定かではない。
 ただ、隣のクラスには、あからさまに前世のメンバーだと分かる面子が勢揃いという、トンデモナイ状況に陥っているのだ。

 それは置いておいて、ひとまず、突っ込みをせずにはいられない。

「それ、部活に入ってないだけだろ?」
「そうとも言いますね」

 みんなと一緒に、今度こそ幸せになろう。
 ドタバタな日常がやって来るであろう事を想像し、僕と耀は笑い合う。

「その帰宅部の人達に、面白い昔話でも聞かせにいくか?」
「名案ですね、さすがはセンパイです」

 どちらかともなく手を繋いで……隣のクラスに乗り込む事にした。
 輝かしい未来の為に、僕たちは、その一歩を踏み出すのだ。






「うわーん、こんな事なら、踏み出さない方が良かったですよー」

 真儀瑠先輩だった少女、鈴音だった少女、アヤだった少女、アリスだった少女、深螺だった少女は、僕の話を聞くとどいつもこいつも普通ではなかったらしく、いきなり前世の記憶を取り戻して……現在、僕を取り囲んで取り合いの真っ最中。
 恋人である耀は弾かれて、一人蚊帳の外。

「後輩よ、今度こそ真儀瑠ルートに突入だっ!」
「僕たち、同級生じゃないですかっ!」
「その程度など、些細な事だ、後輩よっ!」

 センパイと呼ぶ先輩が居て、後輩と呼んでくる同級生が居て……

「蛍、また会えるなんて、思わなかったよ」
「鈴音……悪いけど、今の僕の名前、蛍じゃないし」
「それを言ったら私だって、鈴音じゃないよ」
「あははー、式見君、楽しそうだね」
「いや、まあ、楽しいかと聞かれれば、楽しいけれど」
「う〜ん、今回は、私も恋人に立候補しちゃおうかな」
「恋人、もう居るしっ!」

 訳が分かんない関係が増えていくけれど、嬉しかった。こうして、また、この人達と話す事が出来て……

「式見蛍、これはどういうカラクリか。世界の意思が関わっているのだろうか」
「そこまでは分からないけど……別に、良いんじゃないか? 楽しいからさ」
「そうか。そうだな……今度こそ世界を一緒に変えていこう。約束だぞ」
「そんな大それた事、やるつもりないし」
「蛍、久しぶりですね」
「久しぶり……深螺さんは転生しても、不思議少女ですね」
「変なカテゴリに分類されました。ショックです。非常にショックです。これは、蛍に責任を取ってもらわないといけないかもしれません」
「たった一言で、捕獲されそうな状況に!」
「センパイは、私のものなんだからー! センパイの、スケコマシー!」

 絶叫する耀を微笑ましい目で見ながら……後でどやされるんだろうなぁ、なんて心中で思い、みんなの方に向いて、僕は笑う。

「では、最後に……死にたがりじゃない新生式見蛍を、今後ともよろしく」

 僕の言葉に、一名を除いた全員が頷き――
 掛け替えのない楽しい時間が、僕たちの元に再びやってくるのだった。


公開:2007/07/21

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