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ミスアンダースタンディング・アンド・ゴースト 問題編
筆者:珠璃


 この世より住みやすい場所はあるかい? 答えは否だ。この世からいなくなってどこにいけるというのだろう 。
 死者と生者を隔てているのは死だ。何故そのようなものが存在するのか。ああ、不愉快だ。死者が不自由を強 いられるのは何故だ? 一部の人間にしか霊が見れないのは何故だ? 霊がモノに何故触れられない? 摂理だ から? 違うだろ。そんなものじゃない。生者が死者を虐げるからだ。
 まったく。それだは死者が可愛そうだろ。
 ……じゃあこういうのはどうだろう? 《死者の国》をつくるんだ。それならば生者も死者も関係無い。だが 、そのためには死者がモノに触れられるようにしなくてはならない。……そういえば《霊体物質化》をもった少 年がいたな。範囲は2mだったか? 段々広がりつつある。全くもって霊の情報伝達は速い。
 ふむ、彼に協力を煽るとするか。彼についているユウとかいう霊の存在。それも役に立つだろう。霊に同情… …いや違うか。ま、それに似たような感情を抱くとは、博愛精神のある奴だ。
 まずは接近から考えなければな。
 《式見蛍》期待させてもらおう……。

 ◇◇
 ……俺の北側にあるのは女性の死体。少女だ。南の方には何もない。東西には蝋燭が立ててある。
 これで大方用意は出来たかな。ククク、こんな誰も使わない呪法を。存在さえ誰にも知られていない俺オリジ ナルの呪法を破る術を持った奴などいないだろう。
 ただでさえ、呪法というものは知られているものでは無し。極簡単なものもあるが複雑すぎるものまである。 複雑だと、霊力がどれだけ強かろうと、解く手段を心得ていようとも難しくなってくる。
 強いて言えば、複雑なものは殆どが誰かのオリジナルであって、その効果も強く速い。
 俺が作り上げたこの呪法。複雑すぎて俺にも頭では理解できていない。ただ、本能的に作り上げたものだ。
 まあ、作り上げたといっても、もともとある呪法を改良しただけだが、威力――もとい効果は上がっているは ずだ。
 いや、そんな事はいい。誰も俺を邪魔するなんて事はしない。否、させない。
 しかし、もともと成功率の低い術だ。俺の全てを回してもできるかどうか怪しいところだ。だが、絶対に成功 させる。あいつに誓って。
 「――――――――――――――――――――」
 俺は神経と霊力を術の発動に全てまわした。

 「たのむ! 成功してくれ! 《   》!!!」
 
 呪法の仕上げの言葉を叫んだ。
 ……………………………………………………
 ……だが、いつまでたっても何も起こらない。

 「なっ、失敗したかっ!?」

 くそっ、どこで間違えたってんだ! 順序は間違っていない。正しく発動するように術も組んだ。一体どこが ……。
 心の中で毒づくも、瞬間もしかしたら成功しているかもしれないという淡い希望も棄てきれず。北に置いた少 女に近づき、その肌に触れてみる。
 ――ダメだ。やっぱり冷たい……。

 「……やっぱり、《死者帰り》は素質がなけりゃできねぇのかな」

 ――それは一瞬だった
 信じられない事に――もう無理だと思っていた時に――呟いた途端。俺の周り。いや、寝かしてある、少女の 周りに白が広がりだした。
 何も見えない。……いや、光だけが、白だけがはっきりと見える。眼前には白一色。他は何も映らなかった。
 気がつけば、体から力が抜けていた。霊力の、魂の使いすぎだろうか。三年前から自分の霊力に気付いたばか りで知識が浅く、ずっとこの呪法のみを作るために修練していたので、そこらへんは良くわからないが。立つの すらままならなくなり、挙句にヘ垂れ込んでしまった。
 ああ、意識が遠のいていくのがわかる。これで、俺もお終いか? ははは……。
 願わくば、このまま、自分の命と引き換えにでも術が成功する事を――。


 翌日。朝八時。一人の少女の遺体が、山ふもとの河川で、キャンプ中の家族連れに発見された。


 ◇◇
 「ケイー、オキテヨー、オナカヘッタヨウ」

 今日一番にきいたのがこの声だった。……幽霊にそんな衝動があるなんて初耳だ。ユウの場合はしょっちゅう 飯をたかってるけどさ。
 いわれた通りに起きてみた。めずらしく、僕にしては本当にめずらしいことだ。……と思う。とりあえず、布 団を自ら剥がし、むくっと起き上がってみた。なんとなく、僕としてはひさしぶりに寝足りたようで、気分も上 々爽快な気分だった。
 そして、その久々のいい気分を台無しにしてくれる某記憶喪失のポジティブ幽霊の第二声目。僕は次にユウが 何をしてきてもいいように体勢をつくった。

 「おっはよう! ケイ! 今日はよく寝たねー。もう、八時だよっ」
 「ん、おはよう、ユウ」

 だけど、とうのユウは何もしてこない。これじゃあ僕の注意し損じゃないか……ん? そんな言葉無いか。
 それと……。
 さっきのユウの台詞。なんか気になったとこがあったんだけど。さて、どこだったか。
 何と無く癪なような気がするけど、ユウに聞いてみよう。

 「ユウ、さっきなんて言ったか憶えてる?」
 「うん? えーと。おっはよ……」
 「そこはいいから。その後」
 「む……」

 ふくれ面をかまされてしまった。ユウは、「仕方ないなぁ」と溜息混じりにむかつく事を言ってから、重大な 事を今度はさらりと言ってのけた。

 「今日はよく寝たねー。もう、八時だよっ……っていったんだよっ」
 ………えーと、はい?

 「ああ、よく寝た……じゃなくて。え、もう八時って、え? ええ!?」

 今日は平日。祝日でもなければ代休なんてものも存在しない。つまりは学校も然り。
 そして、八時。ここからだと、大体の確立で遅刻する。それも僕の足で行けばパーセンテージならば99.9%で 妥当なところだ。しかも、それは八時に家を出た場合であり。まだ、着替えてもいない僕は……。

 「やばい、完璧に遅刻だ……うぅ、死にてぇ」

 だが、忘れてはならない。僕、式見蛍の一日は今日も始まったばかりだ。

 ◇◇
 いつもの学校へ続く道。私、鈴無鈴音は、ほんといつも通りにその道を歩いていた。
 いつも通りというのは、本当に《いつも》通っているとおりというわけで、考え事をしながら歩く。
 もちろん、考えるのは蛍のことや家のことや蛍のことや蛍のことや……ああ、蛍はまたユウさんと……ダメダ メ。考えるのはよそう。
 私は首を振って今考えていた事を頭から離そうとした。そういえば、今日は少し出るのが遅れたから学校に着 くのはいつもの蛍と同じぐらいになるんだっけ。
 途端、なんかおなじみになってしまったような声が。聞き覚えのある声が耳を通った。

 「はぁ……死にてぇ」

 それは、私が聞いた中で蛍の声でしかありえない。まさに噂をすれば影とはこの事。
 立ち止ってあたりを見渡してみると、とうの蛍はすぐに見つかった。だけど、様子がおかしい。

 「蛍っ、今日平日だよ。何で私服なの? それに顔真っ青だよ?」

 私自身が言った通り、蛍は何故か私服で、顔色が真っ青だった。蛍はもともと白い顔……別に真っ白とまでは いかないけど。だけど、少しその顔の青さは以上だった。それに、様子がおかしいのはそこだけじゃない。何故 かいつも蛍に着き纏っているはずのユウさんがいないのだ。

 「えっ? 何で僕の名前を……じゃなくて、君だれ?」

 「へっ?」

 思わぬ返答に素っ頓狂な声を上げてしまった。え? 蛍だよね? 
 ことの本人を上から下まで定めるように見て、また上まで視線をあげる。どっからどう見ても蛍だ。私の視線 に気付いてか、蛍は微妙に身体を震わせた。
 冗談かなとも思ってみたけど、私は嘘を吐かれたら何と無くわかる。
 やっぱり蛍は本当に言っているのだろうか。
 あっ、と声を上げて、そう言えばという見解に思い当たった。
 もしかして、記憶喪失?

 「えーと、確かに僕は蛍なんだけど……」

 いや、まって。ユウさんが記憶喪失だった事を思い出してこういう答えになったけど。今思えばユウさんは名 前も覚えてなかったんだよね……記憶障害ってこともあるにはあるけど。

 「えっと、あなたの名前は式見……蛍よね?」
 「う、うん。そうだけど」

 ドッペルゲンガーというのもあるけど、それならとっくにわかっているはずだし。どうみても、蛍だ。やっぱ り、記憶障害なんだろうか。
 それに霊力だっていつもの蛍と一緒だし……凄い細かい差はわかりにくいけど、同じくらい。
 ああ! もうっ、なんだっていうのよっ。

 「ええとっ……!」
 「鈴音? なにしてるの?」
 「はぅっ」

 後ろからいきなり声をかけられてビックリするも、聞き覚えのある声で振向くと、そこには案の定ユウさんの 顔がドアップであった。

 「なんで、ユウさん。え? 蛍がそこにいて……」
 「ん? 僕がどうかした? 鈴音。ていうか、急がないと遅刻だよ。急いでも遅刻だけど」

 ユウさんの少し後ろから蛍の声。そちらを見てみるとやはり蛍。それも制服を着ている。しかも、ここまで走 ってきたのか汗をかいてるようだった。
 あれ、こっちにも蛍……じゃあ、私の横にいた蛍は?
 もう一度振向くとそこにはなにもなく、誰もいなかった。

 「え? ええ??」

 さっきそこに私服の蛍がいて、今はここに制服を着た蛍がいて……。
 学校の方から鐘の音が聞こえてきた。HRのチャイムだ。

 「やば、鐘なってる。急ぐぞ! ユウ、鈴音」
 「おうよ!」
 「え、あ……うん」

 訳がわからないまま私は蛍のあとに続いた。

 ◇◇
 さて、今の状況。何とか遅刻だけど間に合い。席についたのはいい。だけど、どうも横から来る視線が気にな る。

 「鈴音、どうしたんだよ、さっきからこっちばかり見て」
 「え、あ、うん。何でもない」
 「なんかやましいことでも?」
 「ち、ちがうわよっ!」
 「そんなに動揺するとは……はっ! まさか」

 先輩風にいってみた。ああ、鈴音。そこまで墜ちたのか……僕はその鈴音のやましいことに気付いてしまった じゃないか。ああ、今までの友情はどこにいったんだよ。

 「うう、友達と思ってたのは僕だけなのか。友情版片思い。くっ」

 前にもこんなことをやったような気がするけど。さて、いつだったか。ちなみにどんな事を考えているかは表 に出さないほうが良い気がした。

 「なんか失礼な想像してないっ!? ねぇ!」
 「おお、元の鈴音に戻った」
 「へ?」

 何と無く鈴音がおちこむ……じゃないか。考え込んでいる様だったのでからかってやろうかと思ったのだけど 。やっぱりいつもの鈴音と雰囲気が違った。だが、家のことでもなさそうだし、体調が悪いわけでもないだろう 。かといえば、ユウの事でもないだろうし……ふむ、第四のパターンかっ。
 で、結局は元に戻るかわからないけどてきとうに、やはりというかからかってやったら、どうやら本調子をと りもどせたのか、いつも通りのノリになる。
 「……はぁ」

 ……と、思えばまた、僕をじーっと見た後、考えるようにしてまた俯いてしまった。

 「あ、あれ?」

 逆効果?
 しかも、なんか鈴音、「あれは絶対蛍だったよね……うん」等と意味不明なことを口走っていた。失敬な。僕 はいつでも僕だ。たぶん……。幽霊に憑依されない限りは……って、そういえば物質化能力があるから無理なん だったか。それの所為であの時は……はっ、思い出してしまった……くそ、あの時あんな台詞吐くんじゃなかっ たな……はぁ、死にてぇ。

 「ケイー!」
 「!!……っ」

 噂をすれば影? 人が考え事をしている時にコイツは……。僕はいきなり後ろから抱きついてきたユウへと、 恨みのこもった視線を向ける。今ので思い切り鼻を机にぶつけてしまったそれのほんの些細な恨みだ。

 「どうしたんだよ、ユウ」
 「え、いや、ナ、ナニモナイヨー。ケ、ケイに迷惑かけられないもん」

 いままでの恨みを一気に放出した視線。明らかに気圧されていた。……ユウが、だけど。そんなに鋭いという か恨みを感じたんだろうか。ユウでも退く睨み。ふむ、今度鏡で見てみよう。いや、でも自分に対して恨みの視 線向けなきゃならないからな。難しい。
 クラスメイトは相変わらず、僕たちから距離を置いていた。小声で話していたからユウではないだろう。しか も、一瞬にして距離をおいたように見えた。あれかな? さっきの鼻を机にぶつけたのにびっくりしたとか?  なるほど。我ながらな名推理だ。ああ、死にてぇ。
 そういえば、顔剥ぎの一件から、少し『死にてぇ』が増えている気がする(このごろは心の中でしか言わない ようにしている)。どうだろうか、これは。
 あの時我慢しすぎたのか。

 「で、鈴音。本当にどうしたんだ?」

 ああ、我ながらしつこい。何でもないといわれた事など忘れているのか……いや、思い切り覚えているけどさ 。

 「えーと、来る時ね。蛍に会う前に蛍にあったの」
 「は? えっと、それはこういうことか? 僕が……ユウが後ろから声をかける前まで鈴音の前に僕が居た。 と」
 「うん。そういうことになるわね。……信じられないだろうけど……」

 「いや、信じるよ」

 「え?」

 断言してみた。

 「うん。僕は信じる。それは『僕』自身ではないだろうけど。いたって鈴音がいうんだからいたんだろう」
 「んー。あっ、そういえばケイに似た人いたよ? でも、あれはケイじゃないね。うん。ケイと一緒に着たか らとかじゃなくて、見た感じは『あれ? ケイ?』って思ったけど。ええと、なんていうんだろう……存在感?  そんなのがケイとは違ってた」

 いきなりユウが割り込んできた。どうやらその人物をユウも見ていたようだ。「あと……」とユウは続ける。

 「感じ……がね。私と似ていた。かな?」

 急にしんみりとした空気になってしまった。ユウの『感覚』が正しければ。それは死人。いや、幽霊、もしく はそれに準ずるもの。ありえないけど死人が生き返った者とも見れなくはない。もっというと、もしかしたら《 それ》は僕自身かもしれないのだ。ユウがいうには違うようだけど。

 「とりあえず、前を向け」

 いきなり命令口調だよ。誰だよ。鈴音……の声じゃなかったし……そもそも女性の声というよりは男性の声だ った。言われた通り、とりあえず、顔をあげてみる。

 「あっ、すみません先生」

 そこには呆れた顔で、だけども、鋭い目線をこちらに向けるベテラン教員の顔があった。

 「はぁ……まあ、いいだろう」

 ……すごく怖かった。なんていうか怖かった。これがユウが僕から受けたような目線だったのか……睨み…… 本当にこわいな。
 横をみると、我関わらずと鈴音は真っ直ぐ教科書へと目線をやり、ユウはというと、既に学校徘徊へといって しまった後だった。はっきりといって、少しむかついた。死にてぇ。

 ◇◇
 町外れにある工場。昔は鉄工所として使われていて、今では猫などが溜まっている廃工場。すっかり錆びれて しまっているが、何故か機械は機能するという稀有な場所であり、さらにはこんな怪談までたっていた。
 《町外れの廃工場は夜になると、誰もいないはずなのに明かりが点き、機械が動き出すらしい。しかも、あの 工場に様子を見に行った人物はすべて、鈍器で撲殺されている。しかも、その機械を動かしているのが幽霊らし い》と。一種の都市伝説じみたものになっている。
 さらに一番新しい情報は。
 曰く、《山で見つかったというあの少女の死体。あの工場に友人と噂を確かめに行ったきり行方不明になって いたようだ》
 新旧問わず、近頃オカルトサイトには、絶対と言って良いほど、《噂》で持ち切りだった。この、《撲殺工場 》と呼ばれる都市伝説もその《噂》から出た一つである。
 《噂》は現実を呼び、怪奇を掴み、広がっていった。
 そのあまりにも、確実な《噂》は、オカルト関係者にとっては実に良いネタとなっている。
 《噂》は噂と違い、ある、数名の個人が流しているもので、それが一人なのか二人なのかはたまた十人二十人 なのかは定かではない。
 つまりは、噂は不特定多数からなる曖昧なものだが、《噂》は個人からでて、さらに確実なものと、それを見 たものは区別していた。
 話を戻せば、この、都市伝説《撲殺工場》のことであるが、最近になり、ある霊能者の家系がこの件の消去に 介入したと言う《噂》が出てきた。
 さて、一番がここだ。
 それが決まったことを知らせた《噂》の発端者――の一人(?)――が《邪魔はさせない》という意味深(意味 不明?)な言葉をカキコんでいる。そしてその後日から、《噂》の発信は絶たれてしまっていた。
 それは、今から一週間前の事。

公開:2006/10/19

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