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お別れの日にうたう歌
著者:ルーラー

○『闇を抱く存在(ダークマター)』サイド

 ――もう少しだ。
 もう少しで我は完全復活できる。
 そのための能力――理力を持つ存在(もの)がこの世界には存在する。
 その理力(ちから)、必ず我のものとしてみせよう。例え界王(ワイズマン)の邪魔があったとしても、だ。
 そう。必ず――。


○神無鈴音サイド

「うーん……」

 蛍のアパートから帰ってきてから数時間、私は普段はあまり着ない服を着て鏡にその姿を映していた。
 ……似合うような、似合わないような……。《顔剥ぎ》の一件が解決した翌日に着ていった服なんだけど、蛍、似合うって言ってくれなかったし……。
 やっぱりいつも通りの服のほうが――。
 と、そこまで考えて私は我に帰ってため息をついた。
 本当、なにを浮かれた気分でいるのだろう。明日は――明日、遊園地に行くのは、元の世界に帰るであろうマルツさんがせめて楽しい時間を過ごせるようにっていうのが目的だっていうのに……。
 マルツさんは帰るとも帰らないとも言っていない。でも、きっと帰ることになるだろうから。だから、蛍は彼には内緒で私たちにそう提案したのだ。
 きっと、明日が彼とのお別れの日になるだろうから、せめて楽しい思い出を、と。
 ……まあ、それなら私も便乗させてもらって楽しい時間を過ごしてもいいかな。……きっと、いいよね?
 そんなわけで、私はまた服選びへと戻るのだった。


○式見蛍サイド

「ちょっと早く来すぎたかもな……」

 僕は某遊園地の入り口で、誰にともなく呟いた。
 今日は快晴。遊びに出掛けるにはもってこいの陽気である。
 ……まあ、なんでここに来たかを考えるとちょっとばかりテンション下がるけどさ。

「ちょっとどころかすごく早いって。かれこれ三十分くらい立ち続けて、もう足が棒のようだし、めちゃくちゃ暑いし、ユウはお前の物質化範囲から離れて涼しい表情してるし。ああもう、幽霊ってこういうとき羨ましい……」
「あんまりグチるなよ、マルツ。余計に暑くなる。ほら、あれだ。心頭滅却すれば火もまた涼し、だ」
「涼しくならない! というか、まず心頭滅却なんて出来ない! よって暑い!」

 ああもう、うるさい。僕はマルツのことを無視することにした。
 ……それにしてもユウ、暑さを感じてないからか、本当に涼しそうだな……。羨ましいを通り越していっそ憎たらしい。

「ええと、涼しくなる呪文、涼しくなる呪文……」

 マルツがなにやらブツブツと呟きだした。ああ、なるほど。辺り一帯を涼しく出来る魔法もあるのか。これは期待大だ。

「凍結氷弾(フリーズ・ショット)!」

 マルツの掌から蒼い光球が飛び出し、なんと僕のほうに向かってくる!

 かきいぃぃぃん!

 光球の当たった僕の腕に、すこしだけ氷が出現した。……あ、ちょっと涼しいかも。

「ああっ! 威力が弱すぎたか……。よし今度こそケイが氷づけになるくらい強力な術を……」

 ……え?

「冷気凍結弾(アイシクル・キャノン)っ!」

 またも飛び出す、さっきより一回り大きい蒼い光球。
「……って!」

 狙い違わず(なのだろう、たぶん。信じたくないけど)、光球は僕の腕にぶち当たり、その腕を氷づけにした。そこをベタベタと触ってくるマルツ。

「あ〜、ひゃっこ〜」
「ひゃっこ〜、じゃない! 何すんだ! お前!」
「気にするな、ケイ。僕の世界で涼をとる方法としては、割と一般的なやつなんだ」
「こんなのが一般的であってたまるか! 早く溶かせ!」
「ヤだ。また暑くなる」

 殴ってやろうか、この野郎。
 と、そのとき。

「熱気結界呪(ヒート・インベ・ラップ)!」

 もわあっ、と辺りがいきなり熱気で包まれた。……熱い、だるい。なんかもう、動きたくない……。

「よし、これで氷も溶けたね。感謝するんだよ、ケイくん。もちろんこのボクに」

 そんなことを言ってきたのは、胸を張ったニーナだった。いつやって来たのだろうか……。感謝なんか絶対しないぞ。なんなんだ、この暑さ――もとい、熱さは……。

「なんか、あんまり感謝してるようには見えないね……?」
「……当たり前だ。熱い、早くなんとかしてくれ……。死んじゃうって、このままじゃ……」

 いや、そんなことより、だ。

「ニーナ、お前までなんでここに……? 悪いけど、お前を誘った覚えはないぞ……?」
「うん。僕が勝手に来たんだよ。昨日言ったでしょ? 僕も少しこの世界で楽しみたいって」

 そういやそんなこと言ってたような、言ってなかったような……。ああ、ダメだ。暑くて頭がまともに働かない……。僕たちの周りだけ30度超えてるんじゃないか……? だとしたら真夏並だ……。

「とにかく、涼しく……。ああ、マルツ、完全にへばってる……」
「え? ああ、ごめんごめん。じゃあ――」

 ニーナはひとつ息を深く吸い込むと、

「激流水柱砲(アクアラー・ブラスト)っ!」

 両の掌を前に突き出し、そこから水の柱を打ち出してきた。……僕の顔面めがけて。

「ばぶぅっ!?」
「どう? 涼しくなったでしょ?」

 水のしたたる僕の顔を覗き込んで、そんなことを訊いてくるニーナ。

「それ以前の問題だろっ!」
「まあ、そうだろうね。じゃあ熱気(ヒート)――」
「それはやめろっ!」
「ねえ、ケイ。もしかしてニーナさんにからかわれてるんじゃない?」

 僕に近づいて来たユウが言う。しかし物質化範囲には入っていない辺りがなんとも憎たらしい……。
 ……いやまあ、からかわれてることには薄々気づいていたけどね。
 ユウに言われてニーナのほうを見てみると、

「いやあ、からかいがいあるよねぇ、ケイくんって。リアクション最高!」
「そんなのが最高でも嬉しくないぞ……」

 このイタズラ娘が……。殴ってやろうか。いや、絶対やらないけど。というか、やれないけど。

「あーあ、服がびしょびしょだ……」
「まあ、そのうち乾くでしょ。もしすぐ乾かしたかったら、また熱気の術使ってあげるけど?」
「……いい」

 僕たち四人がそんなことをやっていると、ようやく鈴音がやって来た。なんか、いつぞやと同じく、妙に気合いの入っている服装だ。

「お待たせー」

 待った。
 しかし待ったのは完璧に自業自得なので、それは言わないことにする。鈴音に文句言うのはお門違いってもんだ。うん。

「あれ? なんでニーナさんが?」

 やはり鈴音も疑問を持ったか……。
 まあ、ニーナが説明したら、鈴音もすぐに納得したからいいけど。

「さて、あとは先輩だけか……」

 とりあえず、先輩が待ち合わせの時間に遅れることはないだろう。
 案の上、先輩は時間ピッタリにやって来た。その頃には僕の服もだいぶ乾いていたことも述べておくとしよう。
 鈴音がそうだったから、先輩も前回と同じく巫女服で来た、ということはない。至って普通のワンピースだ。おお、外見だけなら超絶美女な人がここに。これで中身が外見に伴っていれば……。

「皆、来ているな。よし、では行くとしよう」

 ああ、漢口調のせいで先輩のまとう清楚で淑(しと)やかな空気が台無しに……。いや、気にするまい。今更だし。なんだかマルツが軽く落ち込んでるけど。
 そんなわけで、ようやく僕たちは遊園地へと足を踏み入れたのであった。……なんか、入るまでが長かったなあ。なんかもうどっと疲れてるし……。


「わあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 ジェットコースターに乗りたいと言い出したのはニーナだった。
 そしていま、僕の後ろで悲鳴を上げているのもニーナだった。
 どうやら、想像以上に怖かったらしい。こんなのが怖いのか、界王(ワイズマン)。

「おっ……落ちるぅ〜!!」

 ああ、うるさい。いや、いい気味か。自分が言い出したことだから誰にも文句言えないだろうし。

「こんなのに乗る人間の気が知れないよ〜! 大体なんでお金払ってまで怖い思いしなきゃならないんだよぉ〜!」

 思いっきり文句言っていた。それはそれとして言わせてもらえば、お金払ったのは僕だ。お前じゃない。
 ちなみに、僕とその隣の鈴音は適当に絶叫していた。まあ、絶叫してこその絶叫マシーンだし、絶叫しないと余計に怖いし。あ、そういえば先輩はさっきから一言も発さないな。マルツもか。
 考えてみれば先輩が絶叫したことなんて今まで一度もなかった気がするし、したらしたで、なんだか先輩のキャラやイメージが壊れそうだ。マルツのほうは……恐怖で声も出ないだけか?
 下のほうを見ると、ユウが不機嫌そうな表情をこちらに向けていた。いやだって、しょうがないじゃないか。姿の見えないユウは絶対乗れないよ、ジェットコースター。それで僕が責められるのはおかしいだろう。理不尽だ。死にてぇ……。

「しっ……死んじゃうよぉ〜!! うっ、うわぁ〜っ!!」

 最後の宙返りの所で、ニーナのこの世の終わりのような悲鳴が遊園地じゅうに響き渡った。それくらい大きい悲鳴だった。……それでいいのか、界王(ワイズマン)。威厳が全くないぞ。


「はぁはぁ……ま、全く。この世界の人間の考えは理解に苦しむよ……」

 ニーナが息も荒く呟く。隣ではマルツも、

「生きた心地がしない……。遊園地なんて全然楽しくない……。並んでばっかりで、やっと乗れたと思ったらあんな怖い乗り物で……」

 まるでうわ言のようにそんなことを繰り返し言っていた。……大げさな。

「本当、キミたちの感性を疑うね。ケイくん、鈴音さん」

 ジトッとした目をこちらに向けてくるニーナ。しかし、僕はその相手をしている場合ではなかった。なぜなら――。

「おい、ユウ。いい加減機嫌直せって。あれはしょうがないだろう」
「…………」

 無言のまま、しかし刺すような視線をチラチラと僕に送ってくるユウ。……どうしろと?
 と、そこで鈴音が助け舟を出してくれた。

「要は誰が乗ってなくても不自然じゃないところに行けばいいのよね。そう、例えば――」

 言って鈴音が指差したのは――。

「あれとか」

 メリーゴーラウンドだった。なるほど。確かにあそこはいまガラガラだ。いきなり誰かがユウの乗る馬に乗ってくる確率はものすごく低いだろう。
 ユウは最初、全く興味が無いようにしていたが、

「……あれだったらいいよ」

 とメリーゴーラウンドにある乗り物のひとつを指差し、僕のほうを向いた。


 そんなこんなで今、僕とユウはかぼちゃの馬車をモチーフにした乗り物の中で向き合って座っていた。一体なにがそんなに楽しいのか、これに乗ってからユウは終始ご機嫌だ。
 ちなみにこれに乗るまでにはちょっと紆余曲折あったりした。
 なんかユウと鈴音の間で、

「いいよね? 鈴音さん。あれじゃないと私、ケイの物質化範囲から出ちゃうかも知れないもん」
「うっ……でも……」
「ジェットコースターでは鈴音さん、ケイの隣に座ってたよね?」
「まあ、そうなんだけど……」
「それに言いだしっぺだもんね、鈴音さん」
「で、でも……」
「なに?」
「……なんでもないです」

 というやり取りがあったのだ。なんかユウ優勢だったけど、一体なんだったのか……。

「いやぁ、楽しいねぇ〜、ケイ」

 僕は正直それほど楽しくはなかったのだが、ジェットコースターでは全くユウが楽しめなかったんだしと、嘘にならない程度の答えを返した。

「まあな」

 ……うん。嘘じゃあ、ない。『それほど楽しくはない』ということは裏を返せば『少しは楽しい』ということでもある。
 と、そこでふと気づく。

「なあ、ユウ。もしかしてここに来た目的、みんなして忘れてないか……?」
「……あ」

 どうやらユウも思い出したらしい。
 そう。僕たちが今日ここに来たのは、マルツに楽しい思い出を作ってもらうためだ。元の世界に帰る前に。だというのに、なんだかさっきから僕たちばかり楽しんでいる気がする。というか、マルツは遊園地そのものにトラウマを抱きつつある。メリーゴーラウンドにもしぶしぶといった感じで乗ったくらいだし。

「どうする? 行き当たりばったりじゃなくて、少しはプランを練ったほうがいいんじゃないか?」
「そうだねぇ……。あまり怖くないものがいいよね。マルツは空飛べるって言ってたからジェットコースターは問題ないと思ってたけど、そうでもないようだし」
「でもゆっくり動く乗り物だったら問題ないのかっていったら……」
「……微妙だね。あ、なら乗り物じゃなければいいのかな?」
「……よし、両方ともプランに入れてみるか」
「ダメだったらまたそのときだよね」
「だな」

 メリーゴーラウンドのかぼちゃの馬車の中は、期せずして僕とユウの作戦(?)会議室になったのだった。


「観覧車?」
「そう、観覧車。要は高いところから街を見下ろすんだよ」

 なんか説明間違えた気がするが、一体どこをどう間違えたのだろう? 今の説明じゃ全く楽しそうに聞こえないぞ、観覧車。
 しかしマルツは食いついてきてくれた。

「へえ。<浮遊術(フローティング)>で空を飛ぶようなものか?」
「あー、まあ、そんなところ。<浮遊術(フローティング)>のことはよく知らんけど」

 どうやら観覧車に乗ることはほぼ決定したようだ。と――。

「蛍、ちょっと待ってて。ユウさん、いい?」

 鈴音が唐突にユウに声をかけて、少し離れたところに行ってしまった。ユウも首を傾げつつ鈴音についていく。
 一体なんだというのだろう?


○神無鈴音サイド

「それで、なに? 鈴音さん」

 茂みに少し身体を隠すと、早速ユウさんが尋ねてきた。

「ユウさん、観覧車で誰と誰が乗るか、ちゃんと考えてる?」
「あ、すっかり忘れてた……」

 やっぱり……。

「でも鈴音さん、今日ここに来た目的、ちゃんと覚えてる?」
「……忘れてた」

 本当、すっかり忘れてた。

「えーと、でも誰と誰が乗るかはちゃんと決めておかないと」
「まあ、そうだね。じゃあ、私とケイ――」
「ちょっと待った」
「ん? なに?」

 本気で分からないといった表情で首を傾げるユウさん。油断も隙もない……。

「……ジャンケンで決めよう」
「なんで?」
「いいから」
「…………」

 私のプレッシャーに負けたか、ユウさんがおとなしく右手を出す。そして。

『じゃ〜んけ〜ん……ポンッ!』

 結果は――。


 私たちの住む街がだんだん小さくなっていく。
 私と蛍は観覧車に揺られながら、その町並みを見下ろしていた。

「……来てよかったね」

 自然、そんな言葉が口をついて出る。あ、もしかしてなんだかいい雰囲気?
 しかし蛍は、

「うーん、どうだろう。まあ、ジェットコースターに比べればマシだとは思うけど……」

 と、マルツさんが楽しんでいるか心配していた。これは彼のいいところだとは思うけど、せっかく二人っきりで観覧車に乗っているのだから、もう少しこっちを気にして欲しいものだ。いや、あるいは、それは私のワガママなんだろうか。

「あれ?」

 ふと蛍が外を見やって声を洩らした。

「どうしたの? 蛍」
「いや、いまなんか、ユウがいたような……?」
「ユウさんが……?」

 立ち上がって窓に顔を近づけてみる。隣で蛍も同じようにしているのが雰囲気で分かった。しかし、私はそのことに照れるより前に、外を見て思わず呆けてしまっていた。
 いたのだ。ユウさんが。
 まずこちらに向かって飛んできて、蛍の物質化範囲に入ったからであろう、すぐに落下していく。しかし範囲外まで落ちるとすぐにまた上昇してくる。そしてまた範囲内に入ると落下して、の繰り返しだ。
 とりあえず、こんな状況でロマンティックな会話が出来るはずもなければ、そういった雰囲気になるはずもない。ジャンケンに負けたユウさんのせめてもの抵抗だろうか。
 私たちは同時にため息をついたあと、なんだか疲れた心持ちで向かい合わせに座ったのだった。もちろん、ユウさんのことにはどちらも口に出さずに。


 次に私たちはお化け屋敷へと向かっていた。なんでもメリーゴーラウンドのところで蛍とユウさんが決めたらしい。正直、面白くなかったけどその案自体はいいと思う。なにしろマルツさんはRPGのような世界から来たんだから、作り物のお化けがダメってことはないだろう。
 そんなことを考えながら歩いていると、すっかり蛍たちから離れてしまっていた。隣にニーナさんがいるからひとりで迷子になることはないだろうけど。
 それでも、とりあえず私は彼女を促し、蛍たちを追いかけることにする。すると、前方から来た緑色の長い髪をした女性とぶつかってしまった。

「あ、すみません」
「気にしないで。こちらの前方不注意だから」

 ニッコリと穏やかな笑みを浮かべる女性。年の頃は24〜25歳といったところか。とても落ち着いた雰囲気を持つ女性だった。
 彼女は今気づいたようにニーナさんへと視線を移す。女性の表情は、どこか強張っているようにも見えた。

「…………」

 沈黙する女性。その沈黙を破ったのはニーナさんの一言だった。

「初めまして」
「あ、ええ。初めまして」

 ぎこちなく返す女性。ニーナさんはそんな彼女に少し声を潜めて囁きかける。表情は笑顔のままで。

「さて、一体なにをしに来たのかな? まさか、ボクにバレてないと思ってるわけじゃないよね?」
「……やっぱり、貴女はあざむけないわよね。さっきすれ違ったあの坊やは気づかなかったようだけど」
「あの坊や? ああ、マルツくんのこと。そりゃ気づかないよ。彼は『蒼き惑星(ラズライト)』の人間とはいえ、やっぱりただの人間でしかないから。そんなことより――」

 そこでニーナさんはもう一段声を潜めた。顔からも笑顔は消えている。

「何のために鈴音さんに接触したのかな? もしケイくんをどうこうするつもりなら――」

 そこまでニーナさんが言ったところで、緑の髪の女性は逃げ出すかのように行ってしまった。

「……行っちゃったね。さ、ボクたちも行こう。鈴音さん」
「え、うん……」

 私は何か得体の知れないものを感じながら、しかし、女性の去ったほうを向くことなくニーナさんのあとをついていった。


○マルツ・デラードサイド

 鈴音さんとニーナさんがようやく追いついてきたのは、蛍とユウがお化け屋敷に入ってしばらくしてからだった。それにしても、さっきからここに入る人たちはなんで男女のペアばかりなんだろう。

「……お待たせ」

 鈴音さんがどことなくボンヤリとした感じで言ってきた。はて? 何かあったのだろうか?
 一方のニーナさんは変わらず元気だった。

「お待たせー! あれ? ケイくんとユウさんは?」
「お化け屋敷に――あ、出てきた」

 グッドタイミングだ。おかげで説明する手間が省けた。
 それにしても鈴音さん、やっぱり妙だな。さっきまでの彼女なら、ケイとユウが一緒にお化け屋敷から出てきた段階で何か言いそうなものだけど。

「よし、じゃあボクたちも入ってみようか、マルツくん」
「……ええっ!?」
「ほら、早く早く」

 ニーナさんに引っ張られてお化け屋敷の中へと進んで行く僕。

「やだっ! 僕、すぐに戻る!」
「なんでさ」
「いや、だって……」

 言っておくが、僕は決してお化け屋敷が怖いわけではない。怖いのは隣にニーナさんがいることだ。

「分かった。お化けが怖いんでしょ?」
「そういうことにしておいていいよっ!」
「よし、じゃあお化け恐怖症克服のためにもレッツゴー!」

 ああ、逆効果。
 しかし参ったなぁ。ニーナさんが隣にいるというこの状況が何より落ち着かない。
 そもそもケイたちは気づいていないだろうが、昨日コンビニ強盗に向けて彼女が放った<闇の矢(ダーク・アロー)>。あれがこの少女が恐ろしい存在であるというひとつの証明なのだ。
 まず彼女はあのとき、呪文の詠唱をしなかった。それ自体が脅威以外の何物でもない。
 それに、彼女はあのとき<闇の矢(ダーク・アロー)>で黒い矢をたった一本しか具現化(ぐげんか)させなかった。本来のあの術は十数本の矢を放つのに、だ。そしてあの一本の矢は狙い違わずコンビニ強盗の顔面を捉えていた。あれは黒い矢を一本しか具現させられなかったんじゃない。わざと一本しか具現させなかったんだ。そうしなければ、本来十数本の黒い矢を放つあの術はケイにも当たっていた。
 もし仮に、この世界に来たせいで黒い矢の本数が一本に減ってしまっていたのだとしたら、矢の出現位置はランダムで決まるはずだから、あんな正確に強盗の顔を捉えられるはずがない。やはり、彼女は意図的に<闇の矢(ダーク・アロー)>で放つ矢の数を抑えたとしか考えられない。
 別にそれ自体は脅威ではない。それくらいは僕にだって出来る。自分が住んでいた世界でなら。けれど、この世界で同じことをやるのは至難の業だ。というか、僕には不可能だ。そして、ニーナさんはそれをあっさりやってしまったのだ。
 呪文の詠唱もせずに、いつでもフルパワーの魔術を使える存在。それがニーナさん――界王(ワイズマン)ナイトメア。その存在が脅威でなくてなんだというのだろう。
 そう。今この瞬間にも彼女はあっさりと、いつもの笑顔を浮かべたまま、僕を殺すことが出来るのだ。そんな存在の隣を僕は歩いているのだ。これを恐怖と呼ばずしてなんと呼ぼう。
 もしこの考えをケイたちが聞いたら、ずいぶんと物騒な思考をしていると思われることだろう。ここはそういうところだ。そういう、安全な世界だ。
 僕はそんなこの世界を、実は嫌いじゃなかった。そりゃ、最初は早く元の世界に帰りたいと思っていたけれど、ニーナさんに帰れると言われた瞬間、あんまり元の世界に帰りたくないと思っている僕に気がついた。
 ケイたちは僕が元の世界に帰ると思っているようだ。それはそうだろう。あの世界こそが僕の親や師匠、友人の住んでいるところなのだから。
 でも、僕の友人はこの世界にも出来てしまったのだ。そして僕は、この世界の居心地の良さに気づいてしまったのだ。だから、別に『お別れ』といわんばかりにこんなところに連れてきてもらわなくても……。
 僕には正直、自分の世界に帰ろうという気持ちはもう、ないのだから。そりゃ、永遠に帰れなくなるというなら話はまた別だけどさ……。
 ――そう。僕はこの世界に留まる。それが僕の選択だ。もし永遠に帰れなくなるというのなら、そのときにまた考えればいいさ。

「ねぇ、マルツくん。ひょっとして、この世界に留まろうとか思ってない?」

 ギクリ、と思わず身体を強張らせる。

「この世界はまあ、それなりにいいところだよね。魔法を使うのがシンドくはあるけど、なにより平和だもん」
「……?」

 ニーナさんがなにを言いたいのか、僕にはよく分からなかった。

「蒼き惑星(ラズライト)も、まあ、それなりに平和――だった。キミがあの世界から消えてしまうまではね」
「え……? じゃあ、今は……?」
「みんなの前で言うわけにはいかない気がしてね。……黙ってた。そもそも、なんでキミを蒼き惑星(ラズライト)に連れ帰ろうとしてるのかだって言わなかったもんね」

 そういえばそうだ。仮にも界王(ワイズマン)ともあろうものが僕を連れて帰ることだけを目的に動くはずがない。僕を元の世界に帰すのは、なんらかの問題を解決する手段のはずだ。

「キミは相当優秀な魔道士だよ。それこそ、この世界でも多少は魔法を使えるくらいの、ね。だからこそ、キミを連れて帰る必要があるんだ」
「一体、どういう……?」
「今、蒼き惑星(ラズライト)ではモンスターの凶暴化現象が起きてる」
「…………」
「なにが原因かは分からない。ただ、時を同じくしてキミがあの世界から消え去った。だからボクは原因を調べに来た。そしてキミを連れ帰りに来た」
「でも、僕はこの世界に……」
「今、『聖戦士』たちがことに当たってくれてる」
「師匠たちが……?」
「そう。それにミーティアさんもフロート公国に来てくれてる」
「……あの『虚無の魔女』が?」

 まさか、そんな事態が起こってたなんて……。

「魔族がこの世界にやって来られるようになるのも、時間の問題だと思う。もしそうなったら、キミはこの世界でどうする? 魔法もろくに使えない、この世界で」
「もしかして、モンスターの凶暴化も、魔族がこの世界に来るかもしれないっていうのも、ケイの能力(ちから)の――世界の歪みのせい?」
「おそらく、ね。それで、どうする? キミは自分の生まれ育った世界を放棄して、この世界でいつ魔族がやってくるか分からないまま過ごす? それとも、今の状況をなんとかするために蒼き惑星(ラズライト)に帰る?」

 そんな風に訊かれたら、答えは決まってるじゃないか。だって、この世界に魔族がやって来るってことは、イコールでケイたちの死を意味するんだから。僕の、友人たちの――死を。
 それに、師匠たちが僕の力を必要としてるのなら、無視することなんか出来るわけない。
 ……ああ、でも。本当は、もう少しだけ、この世界に――いたかったなぁ。
 平和な日常を――楽しんでいたかったなぁ。
 まだ、あの世界には――戦場には、戻りたくなかったなぁ……。
 でも、それはワガママ。ワガママなんだ――。


 夕闇の忍び寄るケイのアパートの前で。

「……それじゃあ」

 僕はケイたちに別れの挨拶を済ませた。
 涙は――流さなかった。ぐっとこらえた。
 きっと――きっとだけど、僕には僕の、彼らには彼らの居るべき場所があって。それぞれの――戦いがあって。それぞれの――物語や役割があって。だから、そんな僕たちは、もう関わるべきじゃないんだって、そう、思った。――そう思い込むことにした。
 もちろん、悲しくはあった。寂しくもあった。でも、この事態を放っておくことは――僕には出来ないから。
 ケイたちが魔族と戦うハメになるところなんて、見たく――なかったから。
 だから――。僕は彼らに『お別れ』を、した。

「――じゃあね」
「ああ、またな」

 そう返すケイ。
 ……違うんだよ。もう、会えないんだよ。なのに、なんでそんなセリフを選んで――。
 いや、僕には分かっていた。また会えると――信じるとまではいかなくても。
 せめて、また会えると願っていたい。思っていたい。
 彼はそう思ってその言葉を使ったのだ、と。

「さ、マルツくん。準備出来たよー」

 ニーナさんの声に導かれるようにして、僕は彼女のほうを向いた。ケイたちに――背を向けた。
 そこには、薄っぺらい光の壁があった。それそのものが白光を放っている光の壁が。

「これは『刻の扉(ときのとびら)』。ボクたちの世界とこの世界を繋ぐ唯一の移動手段だよ。まあ、今はちょっと例外があるけどね」

 言ってケイのほうをちらりと見るニーナさん。そして、『刻の扉』をくぐるようにと僕にその瞳を向けてくる。
 僕は――ただ無言で『刻の扉』へと足を踏み出した。
 やがて周囲が光に包まれる。それでもなお歩き続け――
 ――不意に。気配がした。どうしようもなく邪悪な、敵意に満ちた気配が。
 しかし、それもすぐに消え去った。
 そして、僕の目の前に――見渡す限りの草原が広がる。

「やっと戻ってきたようだね。まったく、ニーナったらのんびりしすぎだよ……」

 声の聞こえたほうに目をやると、そこには三人の人間の姿。
 ひとりは今、口を開いた少女。
 ひとりは、僕の師匠のパートナーの男性。
 そして最後のひとりは、僕の師匠。
 少し目をこらせば三人の立つ方向に、僕の住んでいた町、カノン・シティが見える。
 とりあえず僕は声をかけてきた少女――茶色がかった髪に赤いヘアバンドをしている少女に戸惑った顔を向けた。

「えっと……?」

 一見すれば、彼女はニーナさんのように見える。というか、ニーナさんにしか見えない。
 しかし、目の前の少女とニーナさんには違うところがふたつあった。
 まずひとつ、服が違う。ニーナさんが着ていたのは『闘士(とうし)』の着る緑色の服。しかし目の前の少女がその身にまとっているのは、ロングスカートタイプの黒を基調とした魔道士のローブに、この世界ではきわめて一般的な膝くらいまでの黒いマント。あ、手には青い杖を持ってもいるな。
 そして、もうひとつの違う点。ニーナさんに比べて明らかに髪が長い。ニーナさんはショートだったけど、彼女はセミロングだ。肩にかかりそうだ。
 ちなみに、年齢は同じくらいに見える。……双子かな? いや、界王(ワイズマン)に姉やら妹やらなんているわけが――

「あ、そういえばキミとは初対面だったね。ええと……ボクはニーネ。ニーネ・ナイトメア。ニーナとは同一にして別個の存在。まあつまりは、ボクもまた『界王(ワイズマン)悪夢を統べる存在(ナイトメア)』の端末たる存在(もの)のひとりってこと」

 ええと……。要するに、彼女とニーナさんは本当に双子――のようなもの?
 僕の困惑をよそに「あはは」と笑うニーネさん。

「いやー、ニーナからキミの情報受け取ってたから、ついついキミもボクを知ってるものと考えちゃってたよ〜」
「情報を受け取ったって……いつ? そもそも――って、ニーナさんがいない!?」
「え? ああ。すぐ帰ってくるんじゃない? あっちで後始末を終えたら」
「後始末?」
「え? あ、う〜んと……。あ、ほら、話し込んでないでキミの師匠と感動の再会でもしたら?」
「感動の、って……」

 そう言いつつも、僕は師匠たちのほうに向きなおる。
 男性のほうはファルカス・ラック・アトールという名の魔道戦士だ。そうそう、かつて『闇を抱く存在(ダークマター)』を消滅寸前にまで追い詰めた『聖戦士』のひとりでもある。二つ名は『悪魔殺し(デモンズ・キラー)』年齢は――確か今年で25。
 金色の長髪に、強い意志をうかがわせる茶色がかった瞳。さらに額には赤いバンダナ。
 よく鍛えられた身体にまとうのは、特殊な魔力が付加されているという黒い鎧だ。そして、その腰には夕闇をも吸い込むような透き通った剣――水晶剣(クリスタル・ソード)が携えられている。

「お帰り、マルツ。大変だったでしょ?」

 そう声をかけてくれたのは、ファルカスさんではなく、僕の師匠――サーラ・クリスメントだった。
 腰まであるまっすぐな青い髪を少し揺らし、奥の深さを感じさせるふわりとした青い瞳が僕の瞳を正面から覗き込んでくる。つられるように師匠が胸元に下げている銀色のペンダント――『まもりのペンダント』がかすかに音を立てて揺れた。
 僕はその師匠の行動に思わずドキリとしてしまった。そう、僕の師匠はなにを隠そう女性である。それも、かなりふんわりおっとりとしていて、無防備な。このふんわりおっとり具合で『聖戦士』だというのには正直、僕も恐れ入る。ちなみに二つ名は『地上の女神』である。
 それはそれとして、いくら相手が師匠だとはいっても、22歳の女性にそんな行動に出られたら誰だってドキリとしてしまうだろう。17歳の少年である僕ならなおさらだ。それも師匠はかなり造形がいい部類に入るし。本当、弟子入りした頃の5年前とは違って、僕も健全な少年に成長したのだということを、そろそろ彼女にも認識してもらいたいものだ。
 ……まあ、師匠のこの行動が、純粋に僕のことを心配してくれてのものだということは理解できるのだけれど。僕、きっと……いや、間違いなく元気ない表情をしているだろうし。
 元気のない理由なんて明白だ。誰がこんな心境で元気にふるまえるだろう。いや、師匠ならやりそうな気はするけど。
 泣き出しそうになるのを必死にこらえている僕を見て、師匠が少し首を傾げた。師匠の髪の匂いが僕の鼻をかすめる。
 ――限界だった……。
 瞬間、僕は師匠の薄緑色のローブ――『魔風神官(プリースト)』のローブの裾を握って大泣きしてしまった。
 胸の中に――あるいは脳裏に浮かぶのはケイたちとの楽しい思い出ばかりで。
 少なくとも、今この瞬間に溢れ出したこの涙は、元の世界に戻ってこれた嬉しさで流れているんじゃないことだけは確かだった。これは、悲しみの涙だった。
 師匠はそんな僕の頭に手を添えると、まっすぐな青い髪を揺らして、ただ、そっと抱きしめてくれた。そう、それは僕が彼女に弟子入りしたばかりの頃。ちょっとした悪ふざけをして、ファルカスさんに怒られて泣きじゃくっていた僕に、師匠がそうしてくれたように。彼女の持っていた回復の杖(ヒール・ロッド)がカランと音を立てて地面に落ちる。
 きっと、師匠の中では僕はまだまだ子供なんだろう。12歳のあの頃と変わっていないんだろう。なぜか、そう思った。
 ちなみに師匠は<通心波(テレパシー)>という術を使える。そしてその応用で人の心を読むことも出来る。だから師匠はきっと、僕が地球で得たものを、そしていま失ってしまったものを正確に理解してくれているだろう。もしかしたら魔術を使うまでもなく、僕の表情で理解してくれているかもしれない。
 僕はただただ泣いた。あのときと同じように泣きじゃくった。
 そして、悟る。
 ああ、僕はまだまだ子供なんだ、と。
 師匠の胸の中で、実感する。
 その匂いを感じて、実感する。
 ああ、僕は自分の住む世界に――師匠たちと過ごしていた世界に帰って来たんだ、と。
 自分の本来いるべき場所に帰って来ただけなんだ――と。
 そう実感しても、やっぱり涙は止まりそうになかったけれど。
 それでも。
 僕は――ここに帰って来たんだ……。


○???サイド

 蒼き惑星(ラズライト)の住人であるマルツ・デラードは自分が元居るべき世界へと帰った。
 そろそろ『闇を抱く存在(ダークマター)』も動き出すことだろう。
 さて、私も彼――式見蛍にちょっかいをかけてみるとしよう。
 その結果、どういうことになるかは私にも分からないけれど。
 とりあえずは――楽しければそれでいい。
 ――そう。とりあえずは……。



――――作者のコメント(自己弁護?)

 どうも、ルーラーです。いよいよ非日常へと移行し始めた第四話、いかがでしたでしょうか?
 いやあ、どうも僕は昔から日常のワンシーンを書くのがなんとも苦手です。キャラクターの心の動きを書くのも、ですが。あ、それとラブコメも。それなのに書きたいと思うのだから、本当に困ったもんです。
 僕がせきな先生の小説に惹かれるのは、おそらくその三つをしっかりとせきな先生が書いているからでしょうね。ああ、非日常な世界ででも『日常』を書けるせきな先生の才能には本当に脱帽ですよ。いっそその才能がうらやましい。
 さて、ついに今回、マルツが元の世界に帰りました。まあ、だからといってちっとも最終話が近いわけではありませんが。
 ああ、それにしても、非日常な世界をこそいきいきと書ける僕がいます。書きたいのは『日常』だというのに、どうしたものか……。
 今回登場した三人の(ある意味二人の?)新キャラは当分たいした活躍はしません。あ、サーラだけは別ですが。彼女には第七話以降で活躍してもらおうかな、なんて思っています。
 ああ(今回『ああ』と嘆いてばかりですね)、サーラがストーリーに絡むことによって、ふんわりとした『日常』を書けるようになればいいのですが。
 あ、そうそう。ニーネのようなキャラが登場することは想像ついた方いるんじゃないでしょうか。第二話でニーナが「〜〜のひとり」と言ってますし。『〜〜のひとり』と言っている以上、『他にもいる』ということを示しているわけですから。
 それにしても本当、『日常』が書きたいです。これから二話ほど非日常な話を書くことになりますから、余計に。
 サブタイトルは今回もまた『スパイラル〜推理の絆〜』(スクウェア・エニックス刊)からです。第七十一・七十二話からです。かなりクライマックスな回のサブタイトルなんですよね。なんせ全七十七話のお話ですから。そんな回のサブタイトルを第四話で使うというのは自分でもどうかと思うのですが、まあ、いいタイトルだと思ったので使っちゃいました。意味はまあ……なんとなく分かって頂けると思います。すみません、本当はなんか上手く説明できないんです。語彙(ごい)不足ですね。
 ちなみに、ファルカスやサーラ、ニーナにニーネは本当に思い入れのあるキャラだったりします。あ、ミーティアも、ですね。でもって、マルツにはほとんど思い入れがなかったりします。だからこそ彼を最初のほうで出したのですよ。
 それはなぜかというとですね。まあ一言で言ってしまえば、ファルカスやサーラをメインで蛍たちと絡ませてしまうと、蛍たちのほうをないがしろにしてしまう危険性があったんです。さすがにそれはマズイな、と思ったので急遽(きゅうきょ)マルツを地球に行かせたのですよ。
 まあそんなわけで、今の僕の心境は、「やった。やっとファルカスとサーラを出せた」というものだったりします。第五話では蛍たちを食うほどの活躍をすると思いますよ、彼ら。まあ、蛍たちとは関わらないため『たいした活躍はしない』と上には書きましたが。
 さて、次は真儀瑠先輩と蛍の中学時代の話を書くと思います。そう。僕の苦手な、けれど何よりも書きたい『日常』のお話です。非日常の入り込む余地なんてほとんどないと言えるでしょう。
 では、また次のマテリアル二次創作小説でお会いしましょう。
 あ、最後に。ここまで拙い文を読んでくださり本当にありがとうございました。面白く読んで頂けたなら幸いです。


公開:2006/06/26
修正:2006/06/27

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