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友人の本性、不思議現象目撃
筆者:元永


「いやぁ〜! たまには怪我もしてみるもんだな!」

 朝、友人の第一声がそれだった。この様子を見る限り、先日の『教育』は全く効果を発揮していないようだ。
 少し、気分が沈む。そんな精神状態では友人の笑顔の洗礼は、はっきり言ってウザイ。

「ウザイ、離れろ」

 そして、俺は本心を隠してまで友人付き合いをするような人間ではない。言いたい事は、はっきり言う。これが友人付き合いの第一歩であると俺は考える。

「まぁ、まぁ、そんな事言わずに話を聞いてくれ!」
「……」

 しかし、流石にこんな反応が返ってくる事は想定外だ。異様なほど機嫌が良い。不気味だ、キモイ。

「ええい、気色悪い。離れろ!」
「まあまあ、まあまあ!」

 俺はまとわり付く友人を振り払おうとする。しかし、友人は蛸のように貼りついて離れない。
 ええい、なんの嫌がらせだ! さては、『教育』の仕返しか!?

「俺、お前に怪我させられただろ?」

 ちっ! やはり仕返しか! なんて嫌らしい仕返しだ!? この野郎。精神的ダメージ大じゃないか。男に貼りつかれても全然嬉しくない!
 よせ! 体をクネクネさせるな!!

「で、あの後、家に帰ったらさ〜」
「は、な、せ! …って、家だ?」

 ……なんだか、話の方向性が可笑しくないかい? マイ、フレンド。

「そ、家。そしたら、知巳(ともみ)が俺の怪我を心配して、手当てしてくれてさ〜」
「………。いや! そんな事はどうでもいい! とにかく離せ!」

 “知巳”というのは、この友人の妹である。くそっ、そう言えばコイツが重度のシスコンである事をすっかり失念していた。

「俺の妹の事を『そんな事』なんて言うな!!」
「だ〜っ! 耳元で喚くな!」

 この変態が!

「そして、次の日曜は治療のお礼を兼ねて知巳と買い物なんだ!」
「離せ! と言うのに!!」
「いわゆる、デートだ!」

 違っ、デート違っ!!

「あぁ、妹に治療されるという、至福の時……、もう一度味わいたい……」
「じゃあ、そうしろ! シスコン変態野郎!!」

 ほぅ…、という夢見る乙女の様な溜息と共に遠くを見つめる友人。控え目に言って…キモ過ぎる。ぶっちゃければ…バイオハザード?
 とにかく、俺は友人の喉元に容赦なく肘を叩き込む。友人が地に崩れ折れる。友人自身が望んだ事だ、何も罪悪感を感じる必要はない。

「はぁ、はぁ……」

 俺は、額の汗を拭いながら息を整える。朝から無駄に体力を消費してしまった。
 ふと、周囲を見渡すと、道行く人々が俺達を避けるように歩いている。……当然だろう。俺が彼らの立場なら同じように―――

 ―――いや、面白がって見学しているかも知れないな。俺なら。

「……ぅ」

 俺が一般人と自分の考え方の違いに思いを馳せていると、弱々しい呻きと共に友人が立ち上がった。
 俺は腕時計に視線をやる。……とりあえず、遅刻はしなくて済みそうだ。

「…調子はどうだ?」
「あ、あぁ、なんだか喉がやたらと痛い…」

 喉をさすりながらの友人の言葉に頷く。当たり前だ。

「お前がちょっと寝ぼけているようだったからな。俺が喝を入れてやった」
「……カツ?」
「具体的にはお前の喉に肘を叩き込んだ」
「……」

 重々しく頷きながらの俺の言葉に、友人が言葉を失う。……そこまで、驚く事だろうか?
 まぁ、確かに寝ぼけている相手に対する対応としては、過激かもしれない。しかし、あの時の暴走した友人を止める手段としては、それほど過激だとは考えていない。
 というか、あれくらいやらんと俺の気がすまん。

「まぁいい、とにかく学校に向かうぞ。遅刻はしないだろうが、それほど余裕のある時間でもない」
「……分かった」

 未だ、納得のいかない表情をしているものの、学校に向かって足を進める友人。
 うむうむ、素直なのは良い事だ。

「なぁ、俺、気を失う前に何か愉快な事、話してなかったか?」
そんな事は一切無かった

 不愉快な言動は多々取っていたが、その中に愉快なものは何一つ無かった。これは断言できる。
 友人がどう思っていたかなど、関係ない。というか、話題が戻って、再び友人が暴走するような事態は避けたい。

「そ、そうか? おかしいな…」
「もう一度言う。そんな事は一切無かった
「わ、分かったから。そんな殺気を込めて言わんでも……」

 ……………。いや、あれは殺気を込めたくもなると思うぞ? 俺でなくても……。

「ん?」

 俺の殺気から逃れるため、視線を逸らしていた友人が前方に何かを発見したようだ。
 ……式見蛍だ。友人の視線を追った先に居たのは、病院を絶賛退院中と評判(この表現はどうだろうと個人的に思う)の式見だった。
 ま、この道は学校に向かう人間が良く使う道の一つなので、彼に出会ったとしても何も不思議ではない。

「…で、式見がどうかしたのか?」
「え? いや、ただ目に入っただけだし…」
「………そうか」

 どうにも、含みを感じさせる返答だったが、友人が答えたくない事を無理に聞きだすような趣味は俺には無いので、聞き流す。
 そういえば、先日の式見はどうも様子がおかしかったな。(それを言うと、神無の方が異常だったが)
 そんな事を思い、式見に視線を戻す。すると、二人の人物が視界に入った。
 一人は式見蛍。これは問題ない。もう一人は式見の少し前を歩行している中年男性だ。まぁ、これも特に問題のあるレベルの出来事ではない。
 その二人を特に意味も無く眺めていると、式見が歩行ペースを上げた。どうやら追い抜きをかけるらしい。……まぁ、気持ちは分からんでもない。
 そして、式見が追い抜いた辺りで、中年男性が“不自然にバランスを崩した”。

「のわぁ!」
「げっ!」
「ん?」

 上から、男性、友人、俺である。
 ……………む。思いもかけない場面で“不思議現象”を目の当たりにした気が……。男性の体が死角になっていたので、どうも確証が無いのだが……。

俺には男性の吸っていたタバコが、地面に落ち、そして、宙に浮き上がったように見えたのだがな……。

 気のせいか?
 式見が追い抜いたのが切っ掛けになっているようにも見えたが……、どうも分からんな。
 呆然と佇む男性を、友人と二人して追い抜く。それに合わせて俺は口を開いた。

「さて、我が友よ。さっきのを見たか?」
「えぅ? な、なんの事だ?」
「………」

 ……“えぅ”ってなんだ? いや、違う、今焦点とすべきは、そこではなかったな。

「『なんの事』も何も、さっき、お前は驚きの声を上げていたではないか」

 “げっ!”って。

「気のせいだろ! 気のせい!」
「……………」

 そう言うと、友人は明後日の方向に視線をやり、俺と視線を合わせようとしない。
 ………まぁ、いい。確証がある事でもないし、下手に追求する事も無いだろう。どうしても気になるなら、式見に直接聞いてみるのも手だしな。
 まぁ、今の所、この件が俺にとってどの程度の損(リスク)と得(リターン)になるか分からんし、しばらくは式見を観察する程度にとどめよう。具体的な行動決定は、その後でもいいだろう。

―――さて、しばらくは暇つぶしに事欠きそうに無いな。






「…!?」
「ケイ?」

 なんだ!? 今、物凄く嫌な予感がした。なんて言うか、本能的に『狙われてる!』って感じたような感じ?
 なんだこれ、……気配? もしや、気配って奴ですか? 幽霊が見える、霊体を物質化、の次は気配察知ですか? どこまで人間離れすれば気が済むんだ、僕!?

「…ケイ?」

 いや待てよ。気配を察知しているという事は僕は今『狙われてる』って事か? ……そんな馬鹿な。僕が狙われるような理由が無いじゃないか、なら気配察知なんて能力も何かの間違い……。それじゃ、さっきの嫌な予感はなんだったんだ?
 気のせい? ………気のせいか。納得できるような、できないような……。微妙。

「ねぇ、ケイってば!」
「うわっ、…なんだユウか、どうした?」
「『なんだ』じゃないよぅ、さっきから私のこと無視してくれちゃってさー」

 微妙に涙目だ。…むぅ、本気で気づかなかった。だがしかし、ここで素直に「気づかなかった」などと言ったら、それはそれでうるさそうなので言わない。

「それはごめん。ちょっと、真面目に考え事をしていたもんだから」
「考え事?」

 ……あ、ごめん。よく考えてみると、あんまり真面目ではなかったかも知れない。
 ユウを適当にかまいながら、僕は思う。さっきの嫌な予感が当たってたら、かなり嫌なんだけど………。(あ、『嫌な予感』なんだから嫌に決まってるか……)
 どうにか、嫌な予感が現実になる前に、楽に死にたいなぁ…。


公開:2006/02/06

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